長男は同じ町内にある自宅の2階でやっている小さなピアノ教室に通っていた。1カ月前、ピアノの先生に音楽科の高校受験に向けて鍛えてやってほしいとお願いしたところだ。
先生は高校の音楽科実技検査要項を既にネットで確認していた。
ツェルニー50番練習曲
ベートベンのソナタ
小5から週2でやり始めた息子にとっては非常に難しいらしい。(僕もツェルニー50番練習曲とベートベンのソナタをYoutubeで見たが、それはそれは目にも止まらぬ速さの指使いの曲だった)
先生は最初、息子のことをお願いした時は不安な表情をしていらっしゃったが、今は乗りかかった船と思っていただけたらしく厳しく指導していただいた。
長男はピアノ教室から帰ってくると、前まで優しかった先生が最近、非常に厳しく、よく叱られると言っていた。僕は先生の本気を感じた。ほんとうに感謝しかない。
こうしておじいちゃんとピアノの先生の協力のもと、高校受験に向けたプロジェクトが進み始めた。
息子は耐えられるのか?途中で根を上げないか?
こんな難しい曲が半年後に弾けるようになるのか?
現在5教科30点台が、350点までアップできるのか?
自閉症の息子がどこまで行けるのか?
不安と期待。
長男が合格した夢を見て、目が覚めるとため息をつく日々。
学校の同級生に「お前が受かるわけねーだろ」と言われた時は長男だけでなく僕もすごく悔しい思いをした。
何とか音楽科の高校に行かせてあげたい。長男の切実な思いは、僕の切実な思いでもあった。